フィールズ賞(Fields Medal)は数学界最高の賞であり、日本では、ノーベル賞に次いで有名な学術賞である。しかし、1990年の森重文さんを最後に日本人受賞者が出ていないからなのかは知らないが、ノーベル賞とは異なり、滅多に報道されることはない。それでも、知名度や受賞者の取り扱いはノーベル賞に匹敵する模様だ。
概要
第1回授与 | 1936年 |
学問領域 | 数学 |
授与 | 4年に1回、4名以下 |
賞金 | 1人120万円(1.5万カナダドル) |
授与者 | 国際数学連合(IMU) |
国 | ━ |
フィールズ賞には受賞時40歳未満という年齢制限があり、これまでの卓越した数学上の業績に加え、数学者としての将来性も選考に加味される。また、4年に1回しか授与されないオリンピック方式である。前回が2018年、次回は2022年である。2019年、2020年、2021年にフィールズ賞の授与はない。
国際数学連合が授与する数学界最高の賞
フィールズ賞は、数学者J. C. フィールズさんの提唱により、1936年に創設された歴史ある賞である。賞金がカナダドルなのは、フィールズさんがカナダ人であることに由来していると思われるが、カナダの賞というわけではない。
受賞者は国際数学連合(IMU)の選考委員会が決定し、4年に1度開催される国際数学者会議(ICM)の場において授与される。選考委員会の議長は、通常、国際数学連合の総裁が務めることになっており、2018年の議長は国際数学連合の総裁でもある森重文さんである。
国際数学連合とは、世界の数学者を束ねる数学界の最高権威とも言える組織である。それが、フィールズ賞が数学界最高の賞と言われる所以である。
でも賞金が激安だ
それなのに、賞金がとてつもなく少ない。フィールズ賞の基金は基本金欠なのだ。しかし、共同受賞者で1億1700万円の賞金を分け合うノーベル賞とは違い、1人120万円である。さすがに、分割はされない。「賞金少なくて、ごめんね。代わりに、これあげる」というわけでは全くないはずだが、40万円相当の14金メダルも一緒にもらえる。
40万円というのは金の価値によるものであって、オークションにでも出品したら、きっと、とんでもない金額で落札されることと思うのだけれど、その可能性を排除するのであれば、日本人の年間平均ボーナスをわずかに上回る程度ということになる。数学者は数学の賞金ハンターというわけではないとはいえ、全然割に合わない。
賞 | 賞金 | |
---|---|---|
フィールズ賞 | 1人 | 120万円 |
ノーベル賞 | 1部門 | 1億1700万円 |
チャーン賞 | 1人 | 5500万円 |
チャーン賞は、2010年に新設された、フィールズ賞と同じく国際数学連合の賞である。
日本の受賞
日本の大学に関係する受賞者一覧
日本の大学に関係するフィールズ賞受賞者は3名、いずれも日本人である。
受賞年 | 受賞者 | 日本の関係大学 |
---|---|---|
1954 | 小平邦彦 | 東京大学学、講、教、筑波大学准 |
1970 | 広中平祐 | 京都大学学、修 |
1990 | 森重文 | 京都大学学、修、助、教、名古屋大学講~教 |
日本の大学に関係する受賞者数の推移
第1回の1936年から、1954年、1970年、1990年となかなかいい感じで日本人受賞者が出ていたのだけれど、そこからは停滞中である。近年受賞が続いているノーベル賞とは対照的だ。そろそろ、どなたかフィールズ賞を受賞してくれると、日本大学ランキング編集長の私としても実に嬉しい。2022年に期待したい。
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