チャーン賞(Chern Medal Award)を知っているという方は、相当レアな人種であろう。よく、この記事に辿り着いたものだ。褒めてあげよう。
チャーン賞は、偉大な数学者、陳省身(シン-シェン・チャーン)さんを記念して、2010年に創設された数学の賞である。フィールズ賞と同じく、国際数学連合(IMU)の委員会によって選考が行われ、4年に1度開かれる国際数学者会議(ICM)の場において授与される大変権威ある賞である。
概要
第1回授与 | 2010年 |
学問領域 | 数学 |
授与 | 4年に1回、1名のみ |
賞金 | 5500万円(50万米ドル) |
授与者 | 国際数学連合(IMU) チャーン賞財団(CMF) |
国 | ━ |
フィールズ賞との違い
チャーン賞は、数学の分野において世界最高水準の業績を残した研究者に授与される。その点は、数学界最高の賞と言われるフィールズ賞も同様だが、フィールズ賞には受賞時40歳未満という年齢制限があるのに対し、チャーン賞は年齢を問わないという違いがある。
また、フィールズ賞が4年で2~4名に授与されるのに対し、チャーン賞は4年に1名にしか授与されない。フィールズ賞はフィールズ賞で、30代半ばまでに卓越した業績を残さなければならないという難しさがある一方、授与者数が少なく、生涯に渡る業績で判断されるという意味では、チャーン賞の方が受賞への道は厳しいと言えるのかもしれない。
チャーン賞 | フィールズ賞 | |
---|---|---|
授与者数 | 4年に1名 | 4年に2~4名 |
年齢制限 | なし | 40歳未満 |
賞金 | 5500万円 | 120万円 |
チャーン賞の知名度は抜群に低いので、世間的な名誉ではフィールズ賞の方がだいぶ格上ということにはなるのだけれど、賞金額がまさに桁違いだ。
だけど、賞金は折半
チャーン賞の賞金は50万米ドルだが、その内25万米ドルは、数学の研究や教育などを目的として、受賞者が指定した機関が受け取る。つまり、受賞者が手にするのは25万米ドルということになる。それを聞いて、がっかりしてしまうのは私だけではないと思うが、我々の99.99……%の人は、そもそも受賞する可能性が一切ないので、悲しみの無駄打ちである。
日本の受賞
日本の大学に関係する受賞者一覧
2010年より始まったチャーン賞は、2018年までに3名の受賞者がいらっしゃる。その内1名が日本の大学関係者であり、日本人である。
受賞年 | 受賞者 | 日本の関係大学 |
---|---|---|
2018 | 柏原正樹 | 東京大学学、修、名古屋大学准、京都大学助、准、教 |
さて、柏原正樹さん受賞により権利を得た2250万円は、受賞時の所属先である京都大学数理解析研究所に贈られた。
日本の大学に関係する受賞者数の推移
日本の大学に関係する受賞者数の推移である。第1回が2010年、これまでに3回、3名の受賞者、日本人は1名しかいないのに、グラフを作る意味が全くない。これほどまでに無意味なグラフは他にないだろう。
外部リンク